Z33 デュアルフローパスショックアブソーバー

純正ダンパーを外していきます 同時にスプリングも外します

「スーパーノーマル」
ある車が題材の漫画で出てきた造語です。主人公が操る車をチューニングしていくのですが、過激な改造はせずにノーマルの良い部分のみをどんどん伸ばしていくチューニングを手掛けるチューナーの言葉でした。
僕がフェアレディZに求める姿や手掛ける仕事など、今も昔も基本的な考え方として僕も「スーパーノーマル」を基本として考えていますので、大変共感した漫画でした。

今回入庫してくださったお客様も、きっと「スーパーノーマル」を求めデイトナにやってきたのではないのかなと思います。294PSモデルのZ33、走行距離は5万キロ程度ですが「常に良い状態のフェアレディZに乗りたい」ということでDAYTONAに相談いただきました。
基本的には少しくたびれているであろう純正ダンパーASSY交換の行いたいということでしたが、社外品の利用ではなく日産純正かチューナーズブランドを望まれているようでした。
Z33純正ダンパーは大きく分けて3パターンあります。
・前期純正(普通のアブソーバー)
・中~後期純正(デュアルフローパス)
・ver nismo専用(スポーツダンパー)
全てのZに全ての商品を取り付けることができます。価格はほぼ全て同じです。

色々話し合った結果、少しでも硬くなるのは避けたいということでしたので、現車に装着されている294PSモデルより純正採用された日産純正のデュアルフローパスショックアブソーバーに決定し、同じ商品への交換とのオーダーをいただきました。
フェアレディZが持つ運動性能を最大に引き出して、ドライブを楽しみたい。そして「ダンパー=消耗品」と割り切ったキチンとした知識を持つオーナーさんですから、いくら純正部品とは言え新品の良い状態というのを本気で感じてくれていて、逆に悪い部分もを感じることも出来る。真剣にフェアレディと向かいあっています。当然、僕も全力でサポートさせていただきました。

しかしブッシュは・・・

現車の車高等を計測した後、純正ダンパーを外していきます。同時にスプリングも純正新品へ交換するので外します。ダンパーは4本とも外傷?はありませんでした。しかしブッシュは・・・右が新品、左は5万キロ。

組み込み時には特殊グリースを塗ってブッシュの滑りを良くします。特にリアは下手に組むとアッパーマウントブッシュの「キュッキュッ音」が出やすいので、入念に作業を行います。

フロントのテンションロッドブッシュ

フロントのテンションロッドブッシュです。下の方が切れています。Zに限った話ではありませんが、それだけストレスがかかっている箇所という証拠です。少し前よりテンションロッドブッシュの切れが発生しているZ33を見るようになってきました。当然交換です。

Z33は後期純正ダンパー

新品部品です。Z33は後期型からデュアルフローパス。まあオーリンズのDFVと考え方は同じです。強いエネルギーがダンパーへ入力された時はバルブから力を逃がし急激な突き上げをさせない微振動吸収ダンパーです。

アームASSY交換

純正部品ではブッシュ単品の設定がありませんのでアームASSYで交換します。残念ながらnismoの強化ブッシュもありませんので純正新品か社外品(アーム調整式ピロ形状)への変更です。

僕がダンパー交換をするときに一番嬉しくなる瞬間です 1G状態でのネジの締め直し 最後にトルクレンチで全てのネジを締めなおし

確実に1本1本ネジを締め各部点検しながら新しいダンパーユニットを組んでいきます。命を吹き込むといえば大げさかもしれませんが、僕がダンパー交換をするときに一番嬉しくなる瞬間です。

組みあがると軽く試運転して異常がないかを点検します。通常でしたらここで終わりですが、オーナー氏の希望もあり1G状態でのネジの締め直しを行いました。これはデイトナでは足回りを全バラしたときなどには必ず行いますが、ブッシュの位置って必ずしも適正箇所で締められてはいないと僕は考えています。
例えば車両静止状態を0として沈んだときがプラス、伸びたときはマイナスとします。あるアームは0で組み込まれ、別のアームはマイナス2、また別のアームはプラス1であったりします。新車の状態でも完全に全てが0ということはなく、前後左右である程度はバラバラに組み込まれています。それらブッシュ(関節)を一度緩めて0の状態を作り、締めなおしていくと言う作業です。
ショックアブソーバーのネジをはじめ、各部アームに付いているブッシュの数、フロントだけで10箇所、リアは18箇所、計28箇所あります。それら全てを0にあわせます。車の程度にもより異なりますが、こちらの車両は4mm上がりました。
以前作業を行った別の車では1G組み込みする前と後では車高が7mmも下がりました。車高が下がることもあるし上がることもありますが、1G組み込みが基本適正値です。1つのブッシュも無理させることなく0から動いてくれます。特にローダウンした車両は1G状態が純正とは明らかに異なりアーム類がバンザイしていますので、そういった意味では1G組み込みの効果は高いと思います。
2時間程度で作業は出来ますので、興味ありましたら問い合わせください。

最後に4輪アライメント調整を行います。今度はブッシュではなくタイヤの位置関係の最適化です。最後の最後にトルクレンチで全てのネジを締めなおし終了です。

納車して一週間後、オーナー氏と電話で連絡取りました。
休みの日に宮崎は「高千穂」までドライブに行ってきたそうですが、4輪がきちんと接地していてコーナーリングも凄くスムーズだと驚かれていました。テンションロッドブッシュが新品なので、ブレーキング時もステアリングに伝わる微振動も皆無でとても気持ちよく走れて感激したとのコメントも頂きました。

ある夏の日の夜
常に万全な状態に整備された愛車のZでドライブに出かけ、いつものワインディングロードを駆け抜けていく。まるで自分の手のようにも足のようにも感じ、意のままに動かすことができる。ほんの1㎜の違いも感じ取ることができる体中のセンサーが、今日の路面の凹凸をステアリングから通じて感じ取ることができる。ギアを落とし少しアクセルを踏み込み加速してみよう。
さっきまで聞こえていたカーオーディオの音は風の音にかき消され、今はただただ自然の風を感じている。今日もZとのドライブはどこまでも「ワクワク感」が消えない。V型6気筒の独特なエキゾーストノートが夜の山々に響き渡る。キセノンライトで照らされたコーナーを1つ、また1つクリアーしていくたびに、どんどんテンションが上がっていく。時間が経つのも忘れて夢中でドライブした。何かに吸い込まれそうなほどに・・・嬉しくて仕方がない、楽しくて仕方がない、ドキドキして仕方がない。「もしかして恋にも似た感覚かな」と考えているとルームミラーに写る自分の顔が少年の頃のように無邪気に笑っていた。

DAYTONAは、そんな真面目なZが大好きで そんな感性豊かなオーナーさんを応援しています。

2009年08月09日